本来グラブの型付けとは本人がもっとも捕球しやすい形を作ることで、
正しい型の付け方や、決まりは無い物だと私は考えています。
ここでは、私がグラブの型付けを行うときに、基本として考えている事を
紹介したいと思います。
−グラブの型付けとは−
私の考える型付けとは、出来るだけ簡単にボ−ルを捕球できるように、
また、瞬間の動きに対応できるようにグラブを仕上げることです。
基本的にはグラブの全体を使って捕球する方が有利だと考えるため、
○
のように、グラブの何処でもボ−ルを捕球できるように仕上げます。
実際にボ−ルを掴むのは○の部分が大半なのですが、
必ずここで捕球
出来るとは限らないことを考えると、全体に捕球面を作るわけです。
捕球面を作るときに気を付けているのは、ボ−ルの進入方向に対して垂直な面を
出来るだけ広く作ってやることだと私は考えました。
グラブを閉じると時は、平坦な面の両端(親指、小指の付け根)で折れるようにし、
捕球面で平坦な三角形が出来るようにします。
実際にボ−ルを掴むと、写真の○の位置にボ−ルは来るのですが、
捕球の瞬間、ボ−ルがぶつかる場所は○の中の何処かになります。
ボ−ルの進入に対して広く包み込むように捕球面を作ることは、予測の出来ないゴロなどを
捕球するとき大きなアドバンテ−ジになると考えるから、丸みのある形が私好みのグラブである。
決まった閉じ方のグラブにするのではなく、自由な形で閉じることの出来る、
柔らかいグラブに仕上げることが、私なりの型付けである。
−型付けの行程@−
それでは、順番にどのように型付けを行うのか説明してみます。
新品のグラブを型付けする場合、実際にはオイルの塗り込みや、革を柔らかくするための
湯揉みと言う作業などが有るのですが、じっくり時間をかけることで、これらの作業と
同じような効果が有ると考えるので、私はオイルの塗り込みだけでも十分だと思います。
まず、私の考えるグラブの型を付けやすくするために、有る程度の癖をグラブに付ける
作業が有ります。
新品のグラブでは、親指の付け根など曲がるような癖はまずついていません。
前に書いた、捕球面を三角形にするためには、親指と小指の付け根に、折れ目の癖を付けます。
私はかなり力を入れて、写真のように折れ目の癖を付けます。
また、これだけでは、決まった位置でしか閉じることの出来ないグラブにしかなりませんので、
その他の部分もかなり力を入れて揉みほぐします。
揉みほぐしたグラブは写真のようにフニャフニャになります。
ここまでして大丈夫なのか?と思われるかもしれませんが、基本的に親指と小指の芯以外の
部分が揉みほぐされているだけです。
私はこれくらい柔らかく仕上げないと、自由度の高いグラブにはならないと考えています。
これは型付けを終えたグラブです。
上のようにフニャフニャニ揉みほぐしても、このグラブは横に置いて、ボ−ルを乗せても
その形を保っています、これは型付け後の紐交換の影響(土手紐の逆巻)も 有るでしょうが、
親指、小指の芯が堅く保たれていることと、捕球面の三角形がしっかりと出来ている
からだと、私は考えています。
−型付けの行程A−
さて、グラブを柔らかくしただけでは、型付けの完成とはいえません。
重要なのは捕球面です、先に話したように三角形を作るために私が行う行程は
捕球面の革を伸ばす作業です。
一般的に捕球面のポケットを作るとき、○の部分を中心に、ポケットを作る人が
大半だと思いますが、私は○の部分を重点的に叩き込みます。
写真のようにこの部分の革を伸ばすことで、先に説明した広い捕球面ができあがります。
右の写真のようにグラブを逆さにして、ハンマ−でたたくと、実際のボ−ルの進入角度に
近い形で革を伸ばすことが出来るのと、グラブの形を確認しやすくなります。
丁寧に平坦な捕球面になるように確認しながらたたくのがこつです。
しっかりと捕球面の革を伸ばした後は、オイルを全体に軽く塗り込んでボ−ルを挟んで紐などで縛ります、
このとき私が気を付けるのは、せっかく作った捕球面の平坦な形が出来るだけ
崩れないようにすることと、親指と小指が極端に内側へ巻き込まないようにすることです。
この状態で私は2〜3日置いておきますが、常に捕球面の形をチェックします。
また、こたつの中や夏の車のトランクなど暖かい場所に置くと効果が大きいようです。
−まとめ−
以上のような行程で私はグラブの型を作るのですが、もちろんグラブの使用目的によって
その考え方は変わります。
左写真のように同じタイプ(内野手用)のグラブで有れば、基本の型は同じですが、
外野手用(右写真)の場合は、丸みを作ることよりも出来るだけ大きく広げれるように作ります。
グラブの型とは、その人それぞれの考え方を基に、もっとも捕球しやすい形が正しいのでは
無いでしょうか?
最後にグラブの置き方なのだが、
常に私は写真のようにグラブを置くようにしている、せっかく作った型も無造作に横置き
されては、型くずれしてしまうと考えるからです。
オイルやロ−ションによる手入れはもちろん、道具を大切に扱うことが、良い型のグラブを
作り上げるための基本中の基本だと私は想う。
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