ミットの型と言っても人それぞれ好みが分かれる物です。
ここでは、私なりに代表的なミットの型について解説と型付け方法をまとめてみようと思います。
(ZETTBRC36312 軟式用ミット 矢野モデル型)
今回は一般的にもっとも草野球などに普及して居るであろうZETTの古田モデルを基本に作られた
矢野(T)モデルを サンプルに使って説明を行うことにした。
(2003.8.3わたさんより古田モデルではなく矢野モデルであるとご指摘頂きました、ありがとうございます。)
このミットの特徴は、従来の分厚くて重量感の有る一昔前のキャッチャ−ミットのイメ−ジとは違い、大きめで軽い。
現在、もっともオ−ソドックスな形のミットではないだろうか?
型の付け方によっては深くも浅くも使える万能型のミットだと思える。
■ミットの型■
まず最初に私の思いつくミットの型を3種類上げてみた。
基本的な考え方として、ミットは硬いところは硬く、軟らかいところは軟らかくメリハリのある
単純な形が好ましいと思うので、折り目の位置、硬さを維持する位置の2点で表現することにした。
写真の解説:
赤線:強く折り目を付けて弱い力でもスム−ズに動くようにします。
黄線:柔らか目の癖を付けます、自分の握力もしくは軽い力で曲がる程度。
緑面:それぞれの型のポケットができやすい場所を表しています。
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■A型付け■<サンプル解説>
もっとも一般的な型だと思うが、最近の流行ではない。
ウエブの付け根にポケットが出来やすく、引っかけ捕りなど得意とする捕手向き。
小型のミットに付けやすい型で、私的にはもっとも音を出しやすい型であるが、
その反面、ポケットが小さいのでそれなりの捕球技術も必要な型である。
全体的に硬め・浅めの仕上がりになるので、速球をしっかり受けたい人向けの型だろう。 |
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■B型付け■<サンプル解説>
A型付けからもう一折りしてポケットを広く使えるようにした型。
ウエブの付け根からミット中央までポケットが出来やすく、
最近の主流型といえるだろう。
大きめのミットに付けやすい型で、ミット全体で包み込めるように捕球もでき、
仕上げ具合ではウエブ付け根の引っかけ捕りも可能な万能型。
初心者から上級者まで使い手を選ばない型だといえる。
中央からウエブの先まで全体を使える型で、変化球などに対応しやすいのが特徴。 |
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■C型付け■<サンプル解説>
B型付けがウエブの先端付け根での引っかけ捕りに対応できる万能型なら
C型はミットの中央で捕球することを前提とした型だと言える。
土手芯など全体的に軟らかいミットに適している、土手芯の硬さを必要としない
型である。
湯もみなどミット全体が軟らかくなってしまったミットに適している。
小型で手の平の真ん中で捕球する感覚の型付けになる。 |
■A型付けの例■
今回はもっとも私が好むA型付けで説明してみようと思うが、基本的にはこのA型からの発展系がB型であり、基本線は同じである。
あくまでも私個人の考えで行っているので、この方法がすべてではないと言うことを始めに確認しておきます。
まず始めに、ミットに手を入れて普通に構えたとします、赤い線が示した部分がかまえて、ボ−ルを掴んだときに
一番後ろに来る場所だと考えます。
違うミットで見てみると黄色い線の示す部分が若干違ってくるのが分かるでしょうか?
これは、自分の手にミットをはめて、どんな感じでミットが閉まるとボ−ルをつかみ安そうか?
受けるときに無理のないミットの角度、ボ−ルのはいる機動を考えて、この点を決めてください。
ここでは、A型の型付けを行うので、写真のように癖を付けてあげる必要があります。
赤線:強く折り目を付けて弱い力でもスム−ズに動くようにします。
黄線:柔らか目の癖を付けます、自分の握力もしくは軽い力で曲がる程度。
青面:メッシュで塗りつぶした部分の芯は基本的に触りません、出来るだけ硬さを維持。
このような考えで、新品のミットに癖を付けていきます。
ウエブの付け根からヒンジにかけて結ばれた線ですが、先ほど確認した一番後ろの点と、ヒンジの一番親指より。
このA型に限らずすべてのミットに言えることなのですが、 この部分に折れ目を入れることで、
親指の土手がボ−ルを抑え安くなり、結果的にボ−ルを掴みやすくなります。
折れ目を付けている様子です、かなり力を入れてしっかりと折れ目を付けます。
私の場合、土手の芯が崩れないように気を付けて足で踏む事もあります。この部分の折れ目は型が付いた後でも
しっかりと決まっているか確認する部分です。
この作業で気を付けるのは、小指側の芯まで揉んでしまわないようにしっかりと気を付けて行うことです。(左写真)
しっかり片を付けると右の写真のように成ります。この時点でかなりゆがんだ形となります。
続いて黄線の部分ですが、ここは若干弱めです、軽く癖が付いてる程度にしておきます。
ウエブの付け根と土手の中央に通してある紐の付近を結んだ線です。
この部分に癖を付けることで、捕球時に飛び出そうとするボ−ルを抑える効果が出ます。
癖を付けている様子ですが、手を入れたりしながら、ボ−ルの飛び出しを抑えるならどの程度の曲がりが必要か?
考えながら、親指と小指の芯がほぐれないように気を付けて行います。
基本的にこれだけの作業でだいたいのミットはボ−ルをポケットで掴める要になるはずです。
■まとめA型■
え?これだけ?と思った人もいるかもしれませんが、これだけなんです。
型付けというとハンマ−で叩いたり、捕球面をガンガン軟らかくしてしっかりと揉みほぐすのを想像しますが、
一度試してみてもらうと分かると思いますが、赤線の部分でしっかりと折り目の癖を付けておけば
以外と簡単にボ−ルが掴めます、また、青いメッシュで表した部分がなぜ硬さを維持したいのか?
それは親指で押さえたボ−ルをしっかりと支える土台と成る部分だからです。
今回はA型の例を紹介したが、基本的な考え方は同じで、B・C型についても同様に赤線、黄線、青メッシュの
仕様を考えて行う事ができます。
下の写真はこの状態から、ボ−ルを200球程度受けた状態のミットです。
■感想■
最近のミットは革も芯も軟らかく、すぐに使える状態になってしまいました。
ZETTのもっとも購入しやすい価格帯の商品を選んで型付けを行ってみましたが、
暇な時間を見つけてボ−ルをパシパシしながら、バッティングセンタ−で120kを約200球で仕上がりました。
じっくりミットを作る時間のない草野球人にとってこれくらいで仕上げれるミットはありがたいですね。
また、新品購入時から硬くしておきたい芯の部分(青メッシュ)を特定しておくことで、ミットのへタレがかなり
抑えることが出来るはずです。
その他型付けに関する考え方や型別の理屈などは上記のサンプル例を参考にしてください。
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